【令和7年10月1日施行】公正証書遺言が自宅からウェブ会議で作成可能に

◆はじめに

「公正証書遺言は大切だとはわかっているけれど、なかなか一歩が踏み出せない…」
そう感じている方は少なくありません。公正証書遺言は、最も信頼性の高い遺言書の一つですが、「公証役場まで出向くのが大変」「証人を2人手配するのが難しい」といった理由から、作成をためらう声も多く聞かれます。
しかし、令和7年10月1日より、これらのハードルが大きく下がります。民法の改正に伴い、テレビ電話などのウェブ会議システムを利用して、自宅にいながら公正証書遺言を作成できるようになりました。

◆改正のポイント:何が変わるのか?

これまでの公正証書遺言は、遺言者と証人2人、そして公証人が公証役場に集まり、対面で作成することが原則でした。
令和7年10月1日からは、この「公証人との対面」がウェブ会議で行えるようになります。

改正前(令和7年9月30日まで)改正後(令和7年10月1日より)
遺言者公証役場へ出向く自宅などからウェブ会議に参加
公証人公証役場で対面公証役場からウェブ会議に参加
証人公証役場へ出向く自宅などからウェブ会議に参加
公証役場全員集合遺言者が自ら公証役場へ出向く必要はない

※ただし、この制度を利用するためには、法務大臣が指定したウェブ会議システムを利用するなど、厳格な要件が定められます。

◆ウェブ会議による遺言書作成のメリット

  1. 移動の負担が軽減される
    高齢の方や、身体的な理由から外出が難しい方でも、自宅にいながら安心して手続きを進めることができます。
  2. 証人確保の負担が軽くなる
    これまでは、ご親戚やご友人に公証役場まで同行をお願いするのが心苦しいという声もありました。今後は、ご自身の都合の良い場所から参加してもらうことが可能になります。
  3. より柔軟なスケジュール調整が可能になる
    公証役場の開庁時間内に足を運ぶのが難しいお仕事をお持ちの方でも、比較的柔軟に時間を調整できるようになります。

◆注意点:ウェブ会議での作成に向かないケース

ウェブ会議は非常に便利な制度ですが、すべての方が利用できるわけではありません。

  • 本人確認が困難なケース
    本人確認のため、顔写真付きの身分証明書の提示が必要となります。
  • 遺言者の意思能力の確認が困難なケース
    ウェブ会議システムでは、公証人が遺言者の表情や様子を詳細に把握し、意思能力を正確に判断することが難しい場合があります。

上記のようなケースでは、公証人の判断により、従来通り公証役場での作成を求められることもあります。

◆当事務所がサポートできること

当事務所では、今回の法改正を機に、ウェブ会議による公正証書遺言の作成サポートを積極的に行ってまいります。

  • 遺言内容の相談・アドバイス
  • 公証人との事前調整
  • 必要書類の準備サポート
  • ウェブ会議への同席・立ち合い(証人としての立ち合いも可能)

遺言書作成に関するお悩みやご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。専門家として、皆様の大切な想いを形にするお手伝いをいたします。

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